お願いドクター、毒よりも愛を囁いて

胸の奥が軋んでずっと痛かった。

ぐっと唇を噛み締めて、包帯の温もりだけを感じながらバスに揺られた___。





「う〜〜っ」


犬のような唸り声を上げる。
鏡を前にして唸り続ける自分の顔を見つめ、マジでガキくさいと感じた。


「どうしてこんなに色気も何もないのかな」


目と鼻と口、ちゃんと必要なパーツは揃ってるんだけど可愛くない。


目は二重でも小さいし、鼻は少しペチャンコで父親に似たせいで小鼻が大きい。

唇の形だけは母親似でいいかと思ってきたんだけど、あの女性達を見た後では、何処がいいんだ?と疑いたくなるような気がしてきて__。


「う〜〜〜っ」


歯を食いしばる自分を見るだけで落ち込む。

ドクターのことを忘れるつもりで飲み始めたんだけど、飲んでも飲んでもちっとも酔わなくて。



「テキーラとか飲めば酔えるのかな」


そんなもの飲んだら明日は仕事にならない。
また再出発のつもりで仕事にのめり込もうと思ってるのに。


「もう〜!どうすりゃいいのよぉ!」


ゴロンと床に大の字になった。

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