お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
思い出すだけで胸がツンと痛む。
忘れようとしてるのに思い出してどうする。


「でも好きなんだもーん!」


うつ伏せて足をバタつかせる。
私が病院を出た後、あの二人はきっと部屋で__……



「やだ!考えたくもない!」


ガバッ!と起き上がってビールを飲み干した。

買って帰った五本のビールはあっという間になくなり、それでも全く酔えずに朝を迎えた。



オフィスへ行くと新たに包帯を巻いてる私に気づき、柑奈はどうしたの?と言いながら指差す。



「挫いた」


そう言うとケラケラと笑い出しながら、何やってんのよ!と肩を叩き、まだツイてないのぉー?と同情した。


「星の巡りが悪いのよ」


出かけに見たテレビ番組の星座占いでもワーストワンだった。
だから、今日もきっと最悪な一日になる予定だ。



案の定、仕事を始めればミスってばかりで、昼休みもろくに休まず仕事を終える頃には足首がどんどん痛みだしてくる。

朝はドクターが巻いてくれた包帯を解くのが勿体なくて、同じ湿布をずっと貼り続けてきたけど限界か。


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