お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
怒鳴ったかと思えば空かさず足元を掬った。
簡単にお姫様抱っこされて、そのままの格好で歩き出す。


今日は昨日に引き続いて臨時休診日だ。
だから誰も居なくて、またしてもドクターと二人きり。


こんなことになるなら、同級生には明日ラインを送れば良かった。
同じ毒を吐かれるにしても、まだ他に人がいた方が気が紛れる。


一晩くらいなら痛みも我慢できたのにしまったな…と悔やみながらも診察台に座らされ、ドクターは昨日貼り付けたテープを剥がし、巻いてた包帯を解いて湿布も取った。



「デカい足だな」


パンパンに浮腫んでるような腫れ具合の足を詰り、処置台の方へと向かう。

くっそぉ〜と思うけど今日ばかりはドクターの言う通り。
捻った足首も足の甲も、水が溜まったように腫れてる。



「……あんた、昨夜酒飲んだろ」


湿布を貼りながら図星を突かれた。
何のことですか〜?とトボけたけど、嘘を吐くな!と一喝された。


「循環悪い状態なのに飲むなんてアホだ!」


バカとかアホとか、ロクな言い方をされない。


「またオッサンみたいにクダでも巻いたか?」


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