お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
コツン…と窓ガラスに額をくっ付ける。

はぁ…と漏らしたら白く曇り、その白さが自分の心に掛かった霞のように感じた。



ドクターが好きだと言いたかった。

前向きにならなきゃ…と思うけど、なかなかそうなれずに苦悩した___。



家に帰りテレビを点けると、臨時ニュースを知らせる警報音が鳴り響いた。

地震かな…と思ってテロップを見れば、高速道路で玉突き事故があり、現場付近でのインター間は数時間程度の渋滞が予想されるという知らせ。


さっきもそうだったけど、よく事故が起こる。

怖いな…と思いながらテレビの画面から目を離し、ドクターを待ってる間に通り抜けて行った救急車のことを思い出した。


あれは、三つ目の交差点で起きた車とバイクの接触事故で怪我を負った人を乗せてったみたいだった。


路肩に避けられた軽自動車の前面が拉て、バイクは横倒しになってた。

パトカーが三台も停まってて、軽自動車の運転手と思われる男性が事情聴取されてるのを見ながら通り過ぎた。


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