お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
そう思いながら車窓に目を向ける。
飲みには行けないけど、もう少しだけドクターと居たい……。


(でも、誘われる訳ないか…)


無意識にハァ…と息を吐いたみたい。
それを聞いたらしい彼が振り向き、覗き込むように見つめた。


「何だよ。やっぱり何処か悪いのか?」


明らかに心配そうな目をしてる。
吸い込まれそうなその瞳を見つめ、いいえ…と言うのは簡単だけど。


「何だか……胸が痛くて……」


ドクターのことを想うから…と心の内で囁いた。


「何だって!?胸!?」


驚くと急に手を伸ばしてくる。
鳩尾に近い辺りを触り、ここか?と真剣に聞きもんだから__


「胸が痛いのは心臓のせいじゃありませんっ!」


叫んでバッと身を翻した。
ドクターの手があった辺りが熱くて、まともに目を向けれない。



「じゃあ何だよ!?」


もうっ、この鈍感!


ドキドキが止まらないのを聞きつつ少しだけ目を向ける。
イケメンな彼を視界に入れると、きゅう…と胸が痛くなった。


(私……やっぱりドクターが好きだ……)


鼓動がマックスになってくのを感じた。


言わずになんて居られない。


やっぱり言おうと息を吸った___。



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