お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
驚く彼女をキッと睨み、声高く「平気です!」と言い返した。


「それよりも今朝部長が言ってました。私が発案した商品を村田さんが発案したって」


確かに会議でのプレゼンはお願いした。
私の拘った部分を一番よく理解してるのは村田さんだけだったから。


「どうしてそんなことになってたんですか!?プレゼンする時に発案者は自分だと言ったんですか!?」


ぎゅっと手を握りしめて訊ねると、村田さんはちらっと横目で確認して___


「波南が発案したと言っても誰も信用しないと思ったからよ。去年まで事務職だったのに一年も経たないうちに商品が開発できるようになるとは、部長から上のクラスの人は思わないわ」


頭の固い連中には、私よりもチームリーダーの自分が発案者だと言った方が説得力があると思ったらしい。


案の定、部長から上の人達は文具の開発に幾つか成功してる村田さんが発案した商品ならば大丈夫だろうと言いだし、製造をOKしてくれたんだとか。


「波南は分からないかもしれないけど、オフィスにはまだ年功序列感が強く残っているの。

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