お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
いくら文具に対する愛情が強くても、商品を作り出すのは今年度異動したばかりの人間じゃ無理だと思われるのよ。

だから、今回は仕様がないと思って諦めて。次の時には私も強く推せるから」


「そんなの…」


(信じれない)


そう思った。

あの商品を作り出そうと決めて、ずっと頑張ってきてたのに。
残業だって沢山したし、手が痛くなる程書き心地もいっぱい試した。


(それなのに、全部水の泡……)


そう思うとお腹の中が怒りで満たされてしまって、村田さんの話なんてその後全く聞けないくらいにお酒を飲んでた。


村田さんは浴びるようにビールを飲み続ける私を何とか止めさせようとしてた。

私が、ほっといて下さいっ!と怒鳴ってもジョッキを取り上げようとしてたと思う。


だけど、私はそんなことをされればされる程荒れてしまい、最後は村田さんにも「帰って!」と怒鳴りだした。


「顔なんか見たくないっ!帰ってよっ!!」


そう言った時の村田さんの顔は悲しそうだった。

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