お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
私の知らないドクター
「起きろ!」


怒鳴り声に驚いて目覚めた。
重い瞼を開けると見たこともない白い天井が見えて、明らかに自分の部屋じゃないなと思った。


「ここ何処!?」


ガバッと勢いよく起きた瞬間、ズキン!とこめかみに疼痛が走る。
つっ!と眉間にシワを寄せて頭を抱え込み、ぎゅっと目を閉じて俯いた。

ズキズキと頭の芯が痛い。
紛れもなく二日酔いだと確信しながら、今何時〜?と声を漏らした。



「……八時だ」


ドスの効いた声が答え、頭を抱えながらも「ん?誰?」と首を傾げる。

どう思っても男性のような声。
しかも、この不機嫌極まりない声は、前にも何処かで聞いた気がする。



(何処でだっけ…)


窺うように自分の右側に視線を向ける。
そこに見えるのは黒いジーパンを履いた足で、長いなぁというのが第一印象で、それから細いなぁ…と羨ましく思った。


その足の下にはタイル張りの床が見えていて、天井と同じように白くて冷たそうな印象を受ける。

視線を手元に移せば真っ白いシーツに覆われた布団が掛けられてる。まるでホテルか病院のようだなと考え、病院…?と思い直すと嫌な予感が走った。


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