お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
まさかとは思うが、私は昨夜病院に運ばれたの?
ビールを飲み過ぎて急性アル中にでもなった?


「うっそぉ!!」


そう言ってバッチリ目を開けると、どう見ても病院にしか見えない室内にいる。
一体ここはどこの病院!?と焦り、狼狽えながら辺りを見回した。



「嘘とは何だ」


不機嫌そうな声がしてギクッとした。
この声、つい昨日聞いたような……

ギクギクとしながらもう一度右側に視線を走らせる。
足元に見える爪先から順に見上げていけば、目の前には会いたくもない人が立っていて__。



「ようやく目が覚めたか」


腕組みをしてる彼はそう言って口を開いた。
院内で会った時とは違い、髪の毛は固められてないからサラサラしてる。
前髪と同じように少しウエーブしたサイドの髪の毛を見つめ、柔らかそうだな…と思ってた。


「呑気に見てんなよ」


腰を折るように上半身を屈ませてきた人は、覗き込むような体勢で私を睨んだ。
不覚にもドキンと胸が弾んでしまい、あの…と怯えながら訊ねた。


「此処は…」


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