お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
「思いきり頭が痛いです」


「そりゃそうだろう。あんな無茶な飲み方をすれば」


持ってた手を離し、自分の横に置いていたワゴンの上からオークカラーのトレイを持ち上げて足の上に置いた。


「トマトジュースだ。飲め」


そう言われて見ると確かにグラスの中に入った赤い液体がある。
でも、それだけじゃなくて、ご飯とお味噌汁とお豆腐の冷奴まであって__。


「あのー、これは?」


「朝飯だ。母親が持って行けと言ったんだ」


「…と言うことは、ここは藤田外科病院の病室?」


「だから、さっきからそうだと言ってるだろう!」


キーンと頭に響く声に目元が歪む。
そんな私に気づいたのか、ドクターはいや…と声を鎮めて……。


「バーのマスターが俺の知り合いなら連れて帰ってくれと言ったんだ。あんたの家なんて知らないし、靖に連絡する訳にもいかないからな」


仕様がなく使ってない病室に寝かせたと言われた。
あーそれでかぁ…と、妙に納得してしまい……


「本当にご迷惑をおかけして」


「そう思うならさっさと食って出ろ」


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