黒猫
第一章
季節外れの転校生
本格的な冬の寒さが身を掠める
思わず「さむっ」と零し、マフラーを巻きなおした
家から徒歩15分の近さにある学校を選んだのはやはり正解だったと思いながら、通学路を歩く
「おはよ〜」
「あ、おはよ!今日は一段と寒いね…」
「ほんとそれっ!…あ、その手袋!!」
「あ、これ?えへへ…彼氏からのちょっと早いクリスマスプレゼント…!」
「えーーいいなぁ、めっちゃ可愛いよ~!」
同じ制服を着た学生たちの浮ついた話を聞きながら、くだらないなと思う
まあこのお年頃彼氏だ何だと浮つくのはもはや仕方ない。それに加えてこの季節か。
ヒュッとまた風が吹いてふるっと身体を震わせた。
「はやく学校行こう…」
まだ彼氏の話で盛り上がる女達の横をさっと足早に追い抜いて、学校に向かう足を早めた。