黒猫
ガラッと教室の扉を開けば、まだまだ人数はまばらだった
今の時刻、8時ジャスト
うん、いつもより五分早く着いた。寝よう。
私の席は窓側の一番奥、かなりの特等席
マフラーを枕にして、突っ伏す。すぐに睡魔はやってきて私の意識はそこでブラックアウトした
「は…わ……、はぎ…ら…!萩原!」
ふ…と名前が呼ばれた気がして意識が持ち上がる
「萩原!!」
あーー…呼ばれた気、じゃなくてよばれてたのか
「はい…」
寝起きの、気怠けな声で辛うじて返せば呆れた声が聞こえた
「お前な…今何限かわかるか?」
今?えっと…麦ちゃんが居るってことは数学だから、
「3限…?」
「そうだ、3限だ、正解だ。」
「……じゃあ、おやすみなさい」
もう質問にも答えたしいいよね、おやすみなさいと言ってもう1度突っ伏そうとすると
カツンカツンと足音鳴らして、近づいてきて
そして私の耳元で麦ちゃんの大声
「萩原ー!!!おやすみなさいじゃねぇよ、起きろ!!お前毎日同じやり取りさせんな!」
「うっっっっるさい!!!!!!」
バンッと机を叩いて起き上がって横を向くと青筋立てた麦ちゃんと、おはようした
「うるせぇのはお前だ!!!起きたな?もう目ェ覚めたろ、なら罰として黒板の問題解け!」
ニコニコと青筋立てたまま黒板を指さした麦ちゃんに、はぁ?と黒板を見る
「フッ…あんな簡単な問題、罰にもならないですって」
そう呟いて黒板の前まで行き、チョークを握る
あ、そうだと振り向き一言
「これ解けたらもう寝てもいいですよね」
麦ちゃんはほぉ…と拳を震わせて
「解けたらな。けど解けなかったらこれから俺の授業で寝ることは許さねぇぞ?」
「わかりました」
そう返して、黒板に向きな終わり…思わず不敵な笑みが浮かんだ。
黒板にびっしりと書き詰められた数式をカツカツとチョークを鳴らして答えを書いていく
これ、なんかの大学の入試問題か何か?高1が解く問題じゃない気がするけど。
「鈴木先生、終わりましたよ」
「……正解だ。……お前なんでこんな問題」
解答を見て思わず目を見開く先生の横を通り抜け席につく
「じゃ、私寝ますね。おやすみなさい」
あの後もなんか言ってた気がするけど、私の意識は既に夢の中だった。