気付けば、君の腕の中。
▽ Story 1
+ ゆっくり変わる日
学校に着くと、男の子はいつの間にか見失ってしまった。
少し残念な気持ちを抑えながら、教室に入ると、あたしの席に座っている人がいた。
「あ、絢華! 今日は早いんだね~!」
「奈々美…あたしの席に座るのはいいけど、お菓子零さないでね」
「分かってるって!!」
机に鞄を引っ掛けると、奈々美は前の席に座った。
お菓子を片手に持つ彼女は東 奈々美(あずま ななみ)。
中学校に入った時に知り合い、彼女が活発的で話しかけやすいタイプの人だったため仲良くなった。
「そういえば絢華、隣のクラスに転校生が来るんだって~。カッコイイのかなあ」
「え、そうなの?」
…なんだ、同じクラスじゃないんだ。