気付けば、君の腕の中。
五十嵐くんの言葉に、あたしはぐぐっと眉間にシワを寄せた。
「…そんなわけないでしょ」
「ふーん。で、二人は上手くいったわけ」
「ま、まあ…上手くいったと思うよ」
「つまんねーの」
頭を掻き毟った五十嵐くんは、あたしの前に立つと見下ろしてきた。
「はっきり言って、おれお前のこと嫌いだったわけ。今日一日、彼女でもねーくせに、自分の友達ほっといて、アイツとイチャつくもんだからな」
「…そ、別に嫌われててもいいけど」
素っ気無く返せば、五十嵐くんの右手があたしの顎を掴んだ。
「お前の友達、最後まで泣きそうな面してたけど、最終的に笑えてたわけ?」
「最後…まで?」