気付けば、君の腕の中。
少し肩を落とすと、奈々美は不思議そうに首を傾げた。
「何々? その転校生と知り合い?」
「いや、そういうのではないんだけど…家が近いんだ」
「へーいいじゃん! そこから始まる恋愛…とかあるかも知れないでしょ?」
「ないない!」
首を横へ何度も振れば、呆れたように笑う奈々美。
中学生になってから女の子たちは恋愛に目覚める子が多い。
だけどあたしは…、何となく恋愛が苦手なのだ。
お姉ちゃんのように彼氏が欲しいと思うには思うんだけど…、だからと言って行動に移せるわけじゃない。
あたしの容姿は平凡中の平凡。
どこにでもいそうで、いない。長所はと聞かれると「思いやり」があるだけ。
後、絵を書くのが好きなくらいで…それと言った個性はない。