気付けば、君の腕の中。
▽ Story 3
+ ゆっくりと手を伸ばした
凜くんたちと出かけた日から一週間後。
今日は冬休み最終日で、あたしは桃と二人で出かける約束をしていた。
しかし、出かける準備を整えている最中に、桃から電話がかかってきた。
「もしも」
『あっ、絢華ー? お願い、今日出かけるのはやめて、私の家に来れない?』
「え?」
あたしの言葉を遮った桃は、珍しく焦っているようだ。
詳細は家に来てから教えると言われたので、あたしは急いで準備を済まし、「桃の家に行ってきます」とお母さんに置手紙を残して、家を後にした。
何年ぶりかに訪れた桃の家は、相変わらず色とりどりの花が咲き、どこかのお屋敷かと疑うくらい大きかった。