気付けば、君の腕の中。
立派な門を前にして、ぼんやりと佇むと、玄関の扉がバァン!と、大きな音を立てて開いた。
まるで何かが飛び出すかのように、勢いよく開かれた扉に釘付けになってしまう。
「うぜェんだよ!! ぶりっ子おんな!!」
「ま、待って…白くんっ!」
まだ幼稚園くらいの帽子を被った子供が、あの桃に罵声を浴びせて、逃げるかのように門を開けた。
あたしと視線が合った瞬間、びくりと震え上がり、そのままどこかへ走っていく。
唖然としながら子供の背中が小さくなるのを見つめていると、半泣き状態の桃が飛びついてきた。