気付けば、君の腕の中。
何とか桃を受け止めると、あたしの胸に顔を埋めて「ど、ど、う、どうし…」とパニック状態に陥っている。
「え、っと…桃って弟なんていたの?」
「ううんっ…、あの子は私のお父さんの弟さん夫婦の子供で…。一応従弟なんだけど、冬休みの間だけ預かってて…」
「そっか…、でもあんまり仲がよくないように見えたんだけど…」
「そうなの…。白(しろ)くんって言って、今幼稚園の年中さんで、4月からは年長さんになるの」
幼稚園くらいの子供かあ…。
あたしに弟や妹はいないため、たまに欲しいな、なんて思ったこともあった。
「白くんの両親は仕事が忙しいから、相手をしてほしいって頼まれたのに、私…」
また涙を零しそうになった桃を必死に慰めると、あたしは小さく息を吐いた。