気付けば、君の腕の中。
子供扱いが嫌いなはずなのに、あたしってばつい…!
あたしの行動に驚いたのか、白くんはすぐさま立ち上がり、そのままどこかへ駆け出す。
慌てて追いかけようとすると「くんな、バーカ!」と怒鳴られてしまった。
彼に伸ばした手のひらが空中をさ迷う。
「…ええ、どうしよう」
でも、今の反応でよく分かった。
彼は子供扱いをされるのが本当に嫌いだったようだ。
あたしは暫く考えた後、とりあえず向拝で手を合わせた。
「…子供って何考えてるのか、よく分からないなあ」
ぽつりと呟いた声は、真っ白な息とともに、空気の中へ溶けていった。