気付けば、君の腕の中。
桃の家に着くと、あたしは土下座をする勢いで頭を下げた。
「ご、ごめん! 結局白くん…、逃げちゃいまして…」
「わわ、顔上げてよ。私のほうこそ、折角遊ぶ予定だったのにごめんね?」
申し訳なさそうに言う桃に、胸が締め付けられた。
「それより、お母さんがケーキを買ってくれたの。一緒に食べない?」
「食べる…けど、でも白くんは…」
「っへ。ケーキなんて、こどもじゃん!」
後ろから聞こえた声に振り返ると、腰に手を当てた白くんがいた。
白くんは被っていた帽子を脱ぐと、桃に似たふわふわの髪が風でなびいた。
少しつり目で頬を膨らませる白くんは、髪以外は桃と全然似ていなくて正反対だ。