気付けば、君の腕の中。
桃はぐっと唇をかみ締めて俯いてしまった。
「…なんで、そこまでするの?
絢華が好きって言えば、坂木くんは私を振って付き合ってくれるよ?」
「一生ありえないよ……」
「っそれは! 絢華が勝手に思ってるだけでしょっ…!?」
「分かってよ桃!!」
「!」
あたしの両手を握っていた桃の手を振り払う。
今まで堪え続けていた涙が、堰を切ったように溢れ出た。
「凜くんが望むのは、あたしに望んだのは!
“恋人”じゃなくて“友達”だった…! あたしだって出来ることなら、凜くんと付き合いたかったよ…!!」
「絢…華」
「どうしたらっ、桃みたい、に…! 付き合えるのか、なんて、もう、わかんないよ…」