気付けば、君の腕の中。


床に座りこむお母さんと、それを見下ろすお父さん。

そんな二人を見て、誰が夫婦なんて思えるだろうか。



「…そうだ。離婚の話なんだがな、父さんはこれから新入社員の指導があって忙しいんだ。
だから秋まで保留にしようと話し合ったよ」

「えっ」



あまりにも暗い雰囲気だったため、ついに離婚したものだと思っていた。

唖然とするあたしを置き去りにして、お父さんはあたしの横を通り過ぎる。



「じゃあ、何かあれば連絡してくれ」

「おとう…さん」

「…アイツのこと、ちゃんと見てあげてくれよ」



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