気付けば、君の腕の中。
携帯の画面にあたしの涙が零れ落ちた。
『あれ、絢華今忙しかった?』
…こんなときにかけてくるなんて、ずるいよ。
「あ、も、しもし…。凜くん?」
『よかった。今、大丈夫?』
「ん、うん。だいじょう、ぶ」
『……絢華、今どこにいる?』
「え? あ、家、にいるよ?」
声が震えていないか不安だった。
こんな情けない顔、凜くんに見られたくないから。
何度も袖で涙を拭っていたのに、それをいとも簡単に凜くんは壊した。
『……会いたい、絢華』
あんなにも苦しかったはずの胸の痛みが、さっぱりと消えて、流し続けていた涙もぴたりと止まった。