気付けば、君の腕の中。
アスファルトの上に、俺の汗がゆっくりと落ちてシミになった。
「…絢華に会えば、答えが出るかな」
ズボンのポケットから携帯を取り出す。
震える指先で絢華の名前を探すと、それをタップして彼女に連絡が繋がるのを待った。
プツッと音を立てて、絢華が着信のボタンを押したことが伝わる。
「あ、もしもし?」
自分の声が震えていないことを祈った。
「絢華、今時間あるかな」
いつも俺に語りかけるような優しい声が、何故だか無性に恋しい。
しかし、数秒待ってみても絢華から返事がない。一度携帯から耳を離すと、やはり電話が繋がっている状態だ。