気付けば、君の腕の中。
何とか落ち着きを取り戻すと、机に突っ伏して息を吐き出した。
「…ねえ、奈々美」
「んー?」
「テストまで1ヶ月を切ったよね」
「そうねえ。そういえば絢華、月城に数学聞く話はどうなったの?」
「……うーん」
3学期が始まってから気づいたのだが、月城の様子がおかしいのだ。
この一週間、月城は放課後になると、さっさと帰ってしまう。
休み時間は熱心に勉強をしているし、何だか話しかけづらい。
今だって折角のお昼休みだというのに、ずっと教科書と睨めっこをしているのだ。