気付けば、君の腕の中。
三つ前の席に座る月城へ視線を向けた。
元々頭がいいのだから、あんなにも勉強をしなくても、余裕で進学できるはずだ。
「…奈々美は違和感とかないの?」
「興味ないからねえ、どうしようもないわ」
「そう…」
もう月城に対して「好き」とかそういう感情はないはずなのに…。
何故だかもやもやしてしまう。
桃にすら話しかけることが出来ず、このままテストを迎えて、卒業できても嬉しくない。
…でも、あたしが行動に移しても、かえって迷惑になる可能性だってあるのだ。
奈々美が席に戻ったのを確認すると、どうしようもない胸の痛みに目を伏せた。