気付けば、君の腕の中。
声が変に裏返っていないか不安だ。
冷や汗が背中を伝う。
「…大丈夫よ。それより涼華は?」
「あ、お、ねえちゃんは…」
「“また”男のところ?」
酷く冷たい視線をあたしに向けるお母さん。
どうして…、こんな家族になってしまったのだろう。
泣きたくなるのを必死に堪えながら、あたしは「違うよ」とお母さんを安心させるように笑った。
「お姉ちゃん、バイトを一生懸命頑張ってるみたいでさ…、今日も夜遅くまで頑張るんだって」
…本当は3日前にバイト辞めちゃったけど言えない…よね。
「それならいいけれど…、ちょっと吐き気が止まらないから薬を…と思ったの」
「あっ、じゃああたし買ってくるよ!」