気付けば、君の腕の中。
そうは言っても帰ることなんて出来ない。
恐る恐る教室に入ると、あたしは黒板を見て、がっくりと肩を落とした。
……本当に、凜くんと気まずさがなければ、嬉しかったのになあ。
あたしは自分の席に座ると、机に突っ伏した。
今に思えば、あたしと凜くんの苗字は同じ「さ行」だ。
…だからって、凜くんが前の席とか、授業に集中できないよ…!
残念ながら桃とは別のクラスだし…。
机に顔を伏せたまま、うんうんと心の中で唸っていると、目の前の席に誰かが座った。
誰か…、なんて一人しかいない。