気付けば、君の腕の中。


まだ教室内には人が少なく、どうしても意識が前に座る人へ向いてしまう。


…凜くん、今に思えば、キスするの慣れてたように感じる。

失礼かも知れないけど…! でも、あたしにとってはファーストキスだったわけで!


あんなにもあっさりと出来てしまうなんて、ちょっとショックだった。


―ふわり。


不意にあたしの頭の上に何かが触れた。

そのままゆっくりと左右に動く―、手のひら。


時々髪に指を絡ませたり、毛先を摘んでみたり…くすぐったい。


今、顔を上げたらどんな顔をするのかな。


だって前に座っているのは凜くんなわけで、あたしが寝ていると思っているのだ。


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