気付けば、君の腕の中。


…り、凜くんだ。

寝癖のついた髪は相変わらずで、ほんの少しだけ消毒液の匂いがした。


初めて会ったときから思うけど、どこか怪我をしているのだろうか。

でも…、聞けないよね。


携帯を開くと、お姉ちゃんからのメールを確認した。


「……え」


たった一文、そこに書かれた文字を見て、あたしは言葉を失った。



『入学式が終わったら、常坂駅に来て』



―常坂駅って…、あたしの家の最寄駅…?


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