気付けば、君の腕の中。
はあ、はあ、と息が切れた。
改札口を抜けて、あたしは見慣れた景色を見渡した。
額に滲んでいた汗が、頬を伝って落ちる。
久しぶりに見たお姉ちゃんと―、複雑そうな表情を浮かべる月城を見て、あたしは呼吸が止まったような気がした。
「絢華、急にごめんね。今から言うことは、もうお母さんも知ってるから」
何を…、言うつもりなの?
「突然で悪いんだけど、私来也と県外に行くことにしたの」
「……え」
「元々私が家を出て行きたくて、県外の仕事を探していたら、来也も県外の高校に行くって言ってくれて…」
目の前が真っ暗に染まっていく。
よく見れば、二人は手を繋いで、キャリーバックを持っていた。