気付けば、君の腕の中。
二人が駅のホームに消える姿を見つめたまま、あたしはお姉ちゃんの顔を思い出した。
いつも濃いメイクばかりしていたのに、今日はあっさりとしていた。
月城の好きそうな女の子らしい服装は、今までお姉ちゃんは持っていなかったのに、いつの間にか買ったのだろう。
ふわふわと舞うワンピース。
離さないと言わんばかりに握り締められた二人の手のひら。
それを見て傷つく自分がいたことに、あたしは酷く動揺した。
一番苦しかったのは―、最後の最後に、月城があたしの名前を呼んで「お姉ちゃんの代わり」として見なかったことだった。