気付けば、君の腕の中。


だからあたしは無理をして笑おうとした、けど笑えなかった。

店の奥の席に案内してくれて、心底よかったと思う。


子供の前で泣いてしまうあたしは、どれほど弱い人間なんだろうか。



「ふーん。じゃあ、そのあね1とおとこ1が家をでていったわけか!」

「や、ややこしい…」


まるで月城が同棲していたような言い方だ。

分かりやすいように「初恋の人と、自分の姉が遠いところに引っ越してしまった」ことを話したら、そう解釈したらしい。


「んで、ほかにもあんだろ!」

「ええ…うん、まあ…あるんだけど」

「ぜんぶはけ! どーせ、言えるやついねえんだろ!!」

「ぐっ…」


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