気付けば、君の腕の中。
オレンジジュースを飲み終えた白くんは、ポケットから何かを取り出した。
「これ…、くれただろ」
「ああ、そうだったね。戦隊モノのカード」
ちゃんと持ってくれているなんて嬉しいなあ。
…それより、こんなにも馴れ馴れしく話していていいのかな。
赤の他人であるあたしが、今白くんと話してるなんて、誘拐犯…とか思われないよね。
ちらりと店員を見て、小さくため息をついた。
「あ、ためいきはきんし!」
「え?」
「しあわせがにげるって、母ちゃんが言ってたからな!」
「そ、そうだね。気をつけます」
息を吸い込むと、満足そうに頷いた白くんは話を戻した。