気付けば、君の腕の中。
ずいっと近づけられた紙に目を通すと、あたしはもう一度読み返した。
「えっと…、来週の土曜日にお遊戯会があるんだね。それを見に来てほしいってこと?」
「ちがう! それのてつだいにきてほしいんだ!」
「…お手伝いに?」
大学や短期大学等に出て、何年かの実務経験を積まないと幼稚園の先生にはなれない。
だからお手伝いなんていけない気が…。
「ほごしゃとか、だれでもいいから、おれのしどうをしてほしいんだ!」
「指導?」
「おどりをやるんだけど…、どうしてもうまくなれないから…。せんせいにきいたら、おやにおしえてもらいなさいって!」
あたしは白くんのお母さんじゃないんだけどなあ…。