気付けば、君の腕の中。


腰を曲げて、膝を抱える姿を見て、こんな寒い時期に追い出された子供かと思った。


恐る恐る近寄れば、あたしの足音に気付いたのか、顔を上げる―…、あの男の子。



「……こ、こんばんは」



男の子に何て話しかければ正解なのか分からず、出てきた言葉は挨拶だった。

きょとんとした男の子はゆるゆると頬を緩める。


「…うん、こんばんは」


少しだけ話してもいいのかと腰を下ろせば、男の子の吐いた息が白く染まったのが見えた。



「今日は、その、寒いですね…?」

「ふは、何で疑問系?」


こちらへ視線を向けた男の子に、一瞬だけ目を奪われた。



「君さ…、この前俺の庭のところでうろついてた人だよね?」

「えっ!?? そ、そんなイメージで覚えてたの…!?」


…ちょっと心外だ。

< 18 / 445 >

この作品をシェア

pagetop