気付けば、君の腕の中。
腰を曲げて、膝を抱える姿を見て、こんな寒い時期に追い出された子供かと思った。
恐る恐る近寄れば、あたしの足音に気付いたのか、顔を上げる―…、あの男の子。
「……こ、こんばんは」
男の子に何て話しかければ正解なのか分からず、出てきた言葉は挨拶だった。
きょとんとした男の子はゆるゆると頬を緩める。
「…うん、こんばんは」
少しだけ話してもいいのかと腰を下ろせば、男の子の吐いた息が白く染まったのが見えた。
「今日は、その、寒いですね…?」
「ふは、何で疑問系?」
こちらへ視線を向けた男の子に、一瞬だけ目を奪われた。
「君さ…、この前俺の庭のところでうろついてた人だよね?」
「えっ!?? そ、そんなイメージで覚えてたの…!?」
…ちょっと心外だ。