気付けば、君の腕の中。
そのとき、玄関が勢いよく開かれて、誰かが飛び出すように出てきた。
「あ、やっときたんだな! おせーぞ!!」
「あはは…、白くんこんにちは」
昨日見た違和感のある麦わら帽子を被り、あたしのところまで駆け寄った。
「母ちゃんは7時までむかえにこねーんだ! だからさっさとおどりおしえろ!」
「あ、ま、待って!」
「あやかは外で手をあらってこい!
おれはなかでまってる!!」
「え、えええ……」
白くんが立ち去る姿って、台風が過ぎ去る姿に似ているような気がする…。
立ち去った白くんの後ろ姿を見つめていると、後ろからくすくすと笑う声が聞こえた。