気付けば、君の腕の中。
女性の言葉に、あたしは何度も頷くと、もう一度「有難う」と聞こえた。
「私、清水 春湯(しみず はるゆ)と言うの。貴方の名前を聞いてもいいかしら」
「は、はい! あたしは白鈴 絢華って言います」
「絢華さんね。…あら、もうこんな時間だわ。突き当たりの部屋で園児たちが、首を長くして待っているわね」
清水さんの腕時計を見させてもらうと、30分ほど話していた。
「園児は全員で四人よ。ちょっと恥ずかしがり屋な子もいるけれど、絢華さんなら大丈夫ね」
「が、頑張ります」
お辞儀をしてから清水さんに教わった突き当たりの部屋に向かった。