気付けば、君の腕の中。


とりあえず四人の園児たちを部屋の中心に集めた。


「白くん、あの子は?」


窓際に座ったまま、ずっと外を見ている眼鏡をかけた男の子は近寄ってこない。

…照れ屋さん、には見えないんだけどな。


「あー、アイツは1回もはなしたことねえ!」

「…おねえさん、ゆうきくんは、はなしかけてもむだだよ」

「えっ?」


くいくいと袖を引っ張られて振り返ると、可愛らしくみつあみで結んだ女の子があたしを見つめていた。


その場で腰を下ろすと、女の子に「どうして?」と訊ねた。


「…おかあさんのおむかえ、いつもまってるんだよ」



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