気付けば、君の腕の中。
早口で言い終えた五十嵐くんは、ひなちゃんが荷物を取りに行ったのを確認すると、あたしの右手を握っていた白くんへ視線を向けた。
…五十嵐くん、凄い詳しいなあ。
「それ、弟?」
「へ? いや、弟ではないんだけどその…」
「ちがう! おれがあやかのめんどうをみてやってるからな!!」
否定できないのが悔しい…!
子供の前で泣いてしまったし、白くんに相談したのは事実だ。
「へーえ、そんな子供に頼るなんて、さすがはバカ女だな」
「あやかはアホだけどバカじゃねえぞ!」
白くん…、それはフォローになってないよ。
思わず遠い目になると、五十嵐くんがクツクツと笑った。