気付けば、君の腕の中。
▽ Story 5
+ 泣きそうな君に目を瞑った
それから一週間、あたしは幼稚園に通った。
初めは踊りを覚えることからスタートし、あたしも一緒になって踊った。
しかし、あたしは踊りなんてやったことがなかったため、どれ程練習しても上達しない。
困り果てたときに、何とひなちゃんが五十嵐くんを呼んだのだ。
「ふーん。この中で一番年上であるお前が、全然踊れなくて、挙句足手まといになってんのかよ」
「…言い返す言葉が見つからない」
「はー、これは貸し一つにするからな」
「うっ」
へ、変なお願いじゃなければいいんだけど…。
嫌な予感しかしないのは、相手が五十嵐くんだからだろう。
そんなことを考えていると、五十嵐くんは踊りの動画を見て「何だ、簡単じゃねーかよ」と呟いた。