気付けば、君の腕の中。
ギリギリ幼稚園に間に合ったあたしは、窓際のところでゆうきくんと話していた。
「ゆうきくんのお母さんは、どんな人なの?」
「…んと、きびしいけど、おべんとうはつくってくれるし、あそんでくれるから、やさしい」
「そっかあ…、いいお母さんだね」
「うん…、この前おかあさん、たんじょうびだったんだ」
「プレゼントとかあげたの?」
「おりがみ…あげたらよろこんでた」
「ゆうきくん、折り紙折るの上手だもんね」
照れているのか頬を赤らめるゆうきくんに、あたしは和やかな気持ちになっていると、背後から「さいごのチェックだ!」と白くんの大声が聞こえた。
「あやか!! ラジカセのじゅんび!」
「はーい」
よいしょ、と言いながら立ち上がると、五十嵐くんと視線がぶつかった。