気付けば、君の腕の中。
+ 甘ったるいそれに目を背けた
(Side:凜太郎)
衝動的なキスを絢華にしてしまってから、俺は自分が分からなくなっていた。
温かい春を迎えても、俺の心は絢華と会わなくなってから、寒くて震えが止まらない。
俺は自分の彼女である一ノ瀬より、絢華のことで頭がいっぱいだった。
折角絢華と同じクラスになれたのに、教室に向かう足が止まりかけてしまう。
…気持ち、悪かった、よね。
俺だったら、出会って数ヶ月しか経っていない人とキスをするのはごめんだ。
相手が絢華ならば、全然嫌ではないのだけれども…、いや、そういう話ではない。