気付けば、君の腕の中。


次の日、もやもやを抱えつつ教室に向かうと、五十嵐が絢華の頭を撫でているのが当たり前のように見えた。


…何で、絢華は抵抗しないのだろう。

俺の存在に気づいた五十嵐は、俺の神経を逆なでするように、絢華の頭を優しく撫でた。


それが脳内でぐるぐると回り、その場で頭を抱えたくなってしまう。


せめて…抵抗すればいいのに。


頬を赤く染める絢華を見て、イライラがどんどん心の中に溜まっていく。



なんで、なんで絢華は五十嵐に触れられても怒らないの?

俺がキスをしたときは―、泣きそうな表情を浮かべていたのに。



もし、五十嵐が絢華にキスをしたとしても、絢華はそれすらも受け入れるのだろうか。


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