気付けば、君の腕の中。
昨日と同じように、自分の席へ戻った五十嵐を見つめながら、俺は絢華の前に座った。
…振り返ったら、また話が出来るかな。
五十嵐と話さないでって言ったら、何でって思うだろうか。
俺は…、絢華に何を求めているのだろう。
自分が自分ではないみたいで、何だか怖くなってしまった。
絢華―、君と話がしたいよ―……。
グッと唇を噛み締めると、後ろでガタガタと音が聞こえた。
時々「むにゃ…」と呟く絢華は、もしかして寝ているのだろうか。
これで起きていたら、完全に目が合ってしまうなと思いながら、それを期待する自分いた。
ゆっくり振り返ると―、絢華は机に突っ伏して眠っていたのを見て、思わず肩を落とした。