気付けば、君の腕の中。


昨日と同じように、自分の席へ戻った五十嵐を見つめながら、俺は絢華の前に座った。


…振り返ったら、また話が出来るかな。


五十嵐と話さないでって言ったら、何でって思うだろうか。


俺は…、絢華に何を求めているのだろう。


自分が自分ではないみたいで、何だか怖くなってしまった。


絢華―、君と話がしたいよ―……。



グッと唇を噛み締めると、後ろでガタガタと音が聞こえた。

時々「むにゃ…」と呟く絢華は、もしかして寝ているのだろうか。


これで起きていたら、完全に目が合ってしまうなと思いながら、それを期待する自分いた。


ゆっくり振り返ると―、絢華は机に突っ伏して眠っていたのを見て、思わず肩を落とした。


< 227 / 445 >

この作品をシェア

pagetop