気付けば、君の腕の中。
それから凜くんと別れた後、一睡も出来ないまま、土曜日を迎えた。
朝からお弁当を作り、お母さんの朝ご飯を用意すると、化粧で隈を隠しておいた。
お姉ちゃんのお下がりの服を着て、髪を緩く結ぶと、家の鍵を閉める。
作りすぎたお弁当を胸に抱えて、幼稚園に向かうと、門が可愛らしく飾り付けてあった。
「あら、絢華さん。おはよう、早いのね」
「おはようございます! 白くんが朝にもう一度踊りを通したいって言ってましたので…」
今日はエプロンを着ていない清水さんは、幼稚園の飾りつけをやっている最中だった。
「荷物を部屋に置いてきていいわよ。案内しましょうか?」
「あ、いえ! 休憩室ですよね?」
「ええ」
「じゃあすぐに荷物を置いてくるので、手伝ってもいいですか?」