気付けば、君の腕の中。


むっとしていると、くいくいと袖を引っ張られた。

振り返ると、ゆうきくんが目を擦りながら「おはよう、ございます」と挨拶をしてくれる。

あたしも「おはようございます」と返して、ふわふわした空気になっていると、白くんの声で現実に引き戻された。


「きょう、おどりだけじゃつまんねーから、トランプもってきた!!」

「あらあら…、じゃあ午後はトランプでもしましょうか」

「…あれ、親は来ないんですか?」


みんなの親が見当たらないので聞けば、清水さんは寂しげに微笑んだ。


「ここの子たちは、全員親が共働きなの。一ノ瀬くんのご両親はたまに参加してくれるけど、今回は来れなかったみたいね…」

「…そうなんですか」


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