気付けば、君の腕の中。
…白くん、残念だっただろうな。
親が来ないって元々分かっていたから、あたしにお弁当を作ってほしいと頼んだのかも知れない。
少し寂しい気持ちになると、五十嵐くんがずんずんと近寄ってきて、あたしの頬を摘んだ。
「い、いひゃい……なにすうの……!」
「…んな面してたら、余計悲しむだろーが」
「!!」
「…それと、折角おれが背中押してやったのに上手くいかなかったのかよ」
あたしの目の下をなぞった五十嵐くんは、ため息をついて部屋の中へ行ってしまった。
「…バレてたんだ」
化粧で完璧に隈を隠したつもりなのに、それを見抜く五十嵐くんは、本当はとても優しいのかも知れない。