気付けば、君の腕の中。
+ 明日を願って目を開いた
清水さんに煮付けの作り方や、簡単なおかずのレシピを教わると、あっという間に料理は完成した。
「絢華さん、とても手際がいいから助かったわ」
「いいえ、これでも油を使う料理とか怖くて、あまり作らないんですよ」
他愛のない話をしながら突き当たりの部屋を目指すと、あたしは途中で足を止めた。
「あの、清水さん」
「?」
「…貴方の娘さんに、ご飯を分けてもいいですか?」
「えっ…、ええ、勿論いいけれど、あの子行事とかは滅多に参加しなくて…」
「少しお話をしてみたくて…、先に食べてて構いませんので、お部屋を教えてもらっても…?」
「それなら休憩室の隣の部屋よ」
清水さんと一緒に料理を運んだ後、あたしはこっそり娘さんである美湯さんの部屋に向かった。