気付けば、君の腕の中。
――誰かが呼んでいるような気がした。
ふわふわとした夢心地の中、段々意識が浮上する。
瞼が重たくて、中々起き上がれない。
何かが肩にかけられて目覚めると、清水さんがにこりと笑ってあたしを見つめていた。
…あれ、いつの間にか眠ってたのかな。
右手には折り紙が握られたままだ。
「ふふ、仲良しじゃない」
その言葉に首を傾げると、あたしの肩からずるりと何かが落ちた。
振り返ろうとして―、ぴしりと固まる。
あたしの左手を握って、机に突っ伏している五十嵐くんは―、どうやら自分の着ていた上着までかけてくれたようだ。
驚きのあまり、数秒言葉を失ったのは言うまでもないだろう。